美肌菌を元気に育てるシンプル習慣

【第1ステップ-18】
「ニキビができたから、殺菌効果のある洗顔料を使おう」
「メイクをきちんと落とすために、
しっかりクレンジングしなきゃ」
そんな風に、
お肌のために良かれと思って続けているスキンケア。
もしかしたら、その習慣が、
肌が本来持っている自らうるおう力を、
気づかないうちに弱らせているかもしれません。
今回のテーマは、
皮膚常在菌の中で肌のうるおいを支える『美肌菌』です。
清潔を意識するあまり、
この大切な美肌菌まで洗い流してしまい、
かえって肌がゆらぎやすくなってしまうことがあります。
これまでのステップで、化粧品に含まれる成分や
間違ったスキンケア習慣についてお話ししてきましたが、
今回は視点を変えて、肌本来が持つ力を引き出す鍵、
「美肌菌」を育てる方法について
詳しくお伝えしていきます。
美肌の鍵を握る「皮膚常在菌」とは?
私たちの皮膚は、決して無菌状態ではありません。
多種多様な菌が、まるで生態系(フローラ)のように
バランスを取りながら共存しています。
この皮膚常在菌は、
大きく分けて3つのグループに分けられます。
① 善玉菌(美肌菌)
代表的なのは「表皮ブドウ球菌」。この菌は、肌のうるおいを支える『天然の美容液』
ともいえる成分を生み出してくれます。
汗や皮脂を栄養にして保湿成分「グリセリン」をつくり、
肌をしっとりと保ちます。
さらに、脂肪酸を生成して肌表面を弱酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を防ぐバリア機能の役割も担っています。
まさに、肌を守り育てる「美肌菌」です。
② 悪玉菌
代表格は「黄色ブドウ球菌」です。健康な肌では少数派でおとなしい存在ですが、
アルカリ性に傾いた肌環境や、傷、乾燥などがあると
増殖します。
アトピー性皮膚炎の悪化や、とびひ、ニキビの炎症など、
さまざまな肌トラブルを引き起こす原因となります。
③ 日和見菌(ひよりみきん)
普段はおとなしい菌ですが、肌のバランスが崩れると悪玉菌のように振る舞うことも。
代表的なのが、ニキビの原因菌として知られる
「アクネ菌」です。
アクネ菌は本来、肌を弱酸性に保つ役割を持つ善玉菌の
一面もあります。
しかし、過剰な皮脂分泌などで毛穴が詰まると、
それを栄養に増殖し、
ニキビや炎症を引き起こしてしまうのです。
** ポイント **
美肌の鍵は「殺菌」ではなく「菌のバランス」。
善玉菌が優勢な弱酸性の肌環境を保ち、
悪玉菌や日和見菌の過剰な活動を抑えることが、
健やかな肌への第一歩です。
美肌菌を減らしてしまうNG習慣
スキンケアは、つい『頑張るほど良い』と思いがちです。
でも、がんばりすぎることで美肌菌が
うまく働けていないことがあります。
ここで、そんな美肌菌の力を弱めてしまう
NG習慣を3つご紹介します。
NG習慣 1. 洗いすぎ・こすりすぎ
洗浄力の強いクレンジングや洗顔料でゴシゴシ洗うと、
汚れだけでなく、肌を守る皮脂膜や角質、
そして大切な美肌菌まで一緒に洗い流してしまいます。
美肌菌が住処と栄養を失うと、肌は乾燥し、
バリア機能が低下。
アルカリ性に傾きやすくなり、
悪玉菌が増えやすい環境になってしまいます。
NG習慣 2. 殺菌・抗菌成分の使いすぎ
「ニキビ=殺菌」という考えから、
殺菌成分配合の化粧品を多用していませんか?
これらの成分は、悪玉菌だけでなく、
善玉菌である美肌菌まで区別なく減らしてしまいます。
肌の生態系が乱れると、かえってトラブルを招きやすく
不安定な肌になってしまうのです。
防腐剤(パラベンなど)が多く含まれた化粧品も同様に、
常在菌バランスに影響する可能性があります。
NG習慣 3. 過剰なスキンケア
肌に何層も化粧品を塗り重ねることは、
一見丁寧なケアに思えます。
しかし、合成ポリマーなどが含まれる化粧品で
肌を覆いすぎると、
常在菌が棲みにくい環境を作ってしまいます。
結果として肌が自らうるおう力が弱まり、
美肌菌が育ちにくくなることに繋がりかねません。
今日から始める!「美肌菌」を育てるスキンケア
では、どうすれば美肌菌を元気に育て、
その力を最大限に引き出すことができるのでしょうか。
答えは、シンプルです。
1:『引く』勇気を持つ(やさしく洗う)
まずは、洗いすぎをやめることから始めましょう。
クレンジングは、肌に負担の少ない
合成界面活性剤不使用の天然オイルを選び、
摩擦を避けてやさしくなじませます。
洗顔は、無添加の石鹸を使い、たっぷりの泡で肌をなでるようにやさしく洗いましょう。
その後、冷たく感じるくらいのぬるま湯で丁寧にすすいだら、清潔なペーパータオルやティッシュで、
こすらずそっと水分を吸い取るようにオフします。
美肌菌とその栄養である皮脂を
「適度に残す」ことが大切です。
2:『与えすぎない』勇気を持つ(シンプルな保湿)
肌が本来持つ「うるおう力」を信じましょう。
化粧水、美容液、乳液、クリーム…と
塗り重ねるのではなく、
本当に必要なものだけを与えるシンプルなケアに
切り替えます。
特に、肌が自ら保湿成分(グリセリン)を作り出す力を
支えるような、成分がシンプルな無添加化粧品を
選ぶことが重要です。
肌が自ら働く環境を整えることで、
美肌菌はのびのびと活動できるようになります。
3:『育てる』意識を持つ(生活習慣の見直し)
美肌菌も、私たちの体の一部です。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動は、
体のコンディションを整えるだけでなく、
皮膚常在菌のバランスにも良い影響を与えます。
特に、発酵食品や食物繊維をしっかり摂ることは、体の中から美肌をサポートすることに繋がります。
**まとめ:美肌菌を育てる秘けつ**
肌を「洗いすぎず」「与えすぎず」、
肌本来の力を信じて見守ること。
それが、美肌菌を育て、
強く美しい肌を保つための確実な道です。
高価な美容液に頼る必要はありません。
まずは、あなたの肌に棲む小さな味方『美肌菌』が
のびのび働ける環境を整えてあげましょう。
肌を甘やかすのではなく、
「育てる」という視点を持つことで、
あなたの肌はきっと、
本来の輝きを取り戻してくれるはずです。
【第1ステップ:実は気がついていない、
お肌に負担がかかっている化粧品をやめる】

