「うるおうはずのパック」が乾燥を招く?

【美肌ステップ1-17】

 

「なんだか今日はお肌が疲れているな…」

「明日は大切な日だから、スペシャルケアをしたい!」

そんな時、多くの方が手に取るのが、

パックやシートマスクではないでしょうか。

 

ひたひたの美容液に浸されたシートを顔に乗せると、

お肌がぐんぐんうるおいを吸収していくような感覚になり、

10分後にはぷるんとみずみずしいお肌に出会える…。

その即効性と手軽さから、

スキンケアの頼れる味方として

取り入れている方も少なくありません。
 
しかし、その「スペシャルケア」が、

逆にお肌の乾燥を招き、

本来お肌が持つ大切なバリア機能を

弱めているとしたら…?

 
今回は、多くの方が良かれと思って行っている

「パック・シートマスクのやりすぎ」に潜む盲点について、

わかりやすくひもといていきます。

 


 

「うるおっている」という感覚の正体

 

パックやシートマスクを使った直後、

お肌はもっちりとうるおいに満ちたように感じられます。

この感覚の正体を知ることが、

美肌への大切な一歩となります。

 

 

角質層が「ふやけて」いませんか?

 

長時間パックやシートマスクを乗せていると、

お風呂で指先がふやけるのと同じ現象が、

皮膚の一番外側にある「角質層」で起こります。
これは、水分を過剰に吸い込んで膨張してしまう現象で、

「角質ふやけ(過水和)」と呼ばれます。

健康な角質層は、レンガ(角質細胞)と

セメント(細胞間脂質)のように強固に結びついており、

肌を守る重要な「バリア機能」を担っています。

しかし、ふやけてしまうと、この強固な構造がゆるみ、

バリア機能が一時的に弱まってしまいます。

パック直後の「ぷるん」とした感触は、

実は健康的なうるおいではなく、

バリア機能が低下したサインと言えるかもしれません。

 


 

パック後の「過乾燥(かかんそう)」に注意

 

バリア機能が弱まった肌に次に襲いかかるのが

「過乾燥(かかんそう)」です。

 

パックで与えた水分が蒸発する際、

パックの水分だけでなく、

もともと角質層が持っていた天然の保湿成分(NMF)や

水分まで巻き込んで一緒に蒸発させてしまう

現象が起こります。

これは、良かれと思って与えた水分が、

結果的にお肌自身のうるおう力(水分)を

奪ってしまうという、皮肉な現象です。
また、シートが乾くまで長時間放置すると、

乾いたシートが肌の水分を奪い取り、

過乾燥の原因となります。

 

もし「パック後にかえって乾燥が進んでしまう」

「しばらくすると前よりつっぱる感じがする」と

感じるなら、この過乾燥が起きている

可能性が高いです。

 

うるおいを与えたつもりが、 実は乾きの原因になっていることも。


 

パックの「うるおい感」は演出かも

 

パック後の独特な「膜が張ったような」

「つるんとした」感触は、成分による演出かもしれません。

水分がお肌に浸透したからではなく、

肌表面に膜をつくるタイプの成分によって

一時的にうるおって見えることがあります。
こうした成分の代表が「合成ポリマー」です。

お肌の表面にビニールのような膜を張り、

水分の蒸発を防いだり、

一時的につるっと見せたりする目的で配合されます。

 

これはあくまで表面的な「見せかけ」のうるおいで、

肌が根本から健康になったわけではありません。

この膜は、皮膚呼吸を妨げたり、

毛穴を詰まらせたりする原因になることもあります。

毎日使用し続けると、

お肌の新陳代謝(ターンオーバー)が乱れ、

ごわつきやくすみにつながる可能性も否定できません。

 


 

浸透を高める成分がバリア機能を壊す?

 

「美容成分がぐんぐん浸透!」という言葉の裏にも

注意が必要です。

健康なお肌は、異物を通さない優れたバリア構造を

持っています。その浸透を助けるために

使われることがあるのが合成界面活性剤。

 

これは角質の脂質を溶かして通り道をつくり、

成分を浸透させる仕組みです。

しかし、その代償としてバリア機能が壊れると、

水分が逃げやすくなり、外部からの刺激や

アレルゲンも侵入しやすくなります。

「浸透力」をうたう製品には、

こうしたリスクが潜んでいることを

覚えておきましょう。

 


 

パック・シートマスクとどう付き合えばいいの?

 

「もうパックは使わない方がいいの?」と

思われたかもしれませんが、

大切なのは選び方と使い方です。

 

お肌の力を守りながら、パックをスペシャルケアとして

取り入れるコツを見ていきましょう。

 

 

1. 成分はシンプルさを追求
「高機能」「高浸透」といった謳い文句よりも、

配合成分が少なく、香料・着色料・アルコール・

合成ポリマーなどを含まないものを選びましょう。

全成分表示を確認する習慣を。

2. 使用時間は厳守
乾くまで放置するのはNG。

乾いたシートは、肌の水分を奪い取り、

過乾燥の原因になります。

表示時間より少し早めに外すのが理想的です。

3. 仕上げは油分でフタを
パック後は、補給した水分が逃げないように

オイルで保護を。

この「フタ」をすることで過乾燥を防ぎ、

うるおいを長持ちさせます。使用するオイルも、

お肌にやさしいものを選びましょう。

 

成分が少ないほど、お肌がほっとする。 シンプルケアがいちばんの思いやり。

 


 

お肌本来の力を信じ、育むスキンケアへ

 

パックのやりすぎは、

知らないうちにお肌のバリア機能を弱め、

乾燥を招くことがあります。

大切なのは、外から「与える」よりも、

お肌が本来持つ力を引き出してあげること。

過剰なケアは、お肌を甘やかし、

自ら働く力を奪ってしまう原因ともなり得ます。

 


今のスキンケアが、

お肌を本当に支えるものになっているかどうか——。
この機会に、ぜひ一度見直してみてくださいね。

 

 

 

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