美肌ステップ ~第1ステップ-2~

【第1ステップ-2】
クレンジングはなぜ肌を壊すのか
〜“落とす”ことで、あなたの肌の守りが失われている〜
夜、メイクをしっかり落とそうと、
クレンジングでゴシゴシこすっていませんか?
「汚れは残したくない」
「毛穴の中まですっきりしたい」
──その気持ちはよくわかります。
でもそのクレンジングが、
実はあなたの肌のバリア機能を壊しているとしたら…?
私たちの肌の表面には、
「角質層(かくしつそう)」という薄い層が存在します。
この角質層は、
レンガのように並んだ角質細胞と、
それをつなぐ“ラメラ構造”という脂質の層でできています。
ラメラ構造とは、
セラミドやコレステロール、
脂肪酸などがミルフィーユのように
何層にも重なった構造で、
水分の蒸発を防ぎ、
外からの刺激物をブロックする
「天然の保護壁」です。
ところが、
市販のクレンジング剤
(特にオイルクレンジングやジェルクレンジング)には、
強力な合成界面活性剤が含まれており、
この大切なラメラ構造を分解・破壊してしまうのです。
ラメラ構造が壊れると、
肌は水分を保持できなくなり、
乾燥・赤み・かゆみなどの
トラブルを起こしやすくなります。
さらに問題なのが、
皮脂膜と常在菌の洗い流しです。
皮脂膜は、
皮脂と汗が混ざり合ってできる天然のクリーム。
肌のうるおいを保ち、
雑菌や花粉、
アレルゲンの侵入を防ぐ役割を持っています。
そして、
その表面には皮膚常在菌という
「善玉菌」が住んでいて、
pHバランスを整えたり、
有害な菌の繁殖を抑えたりといった
“肌の自衛隊”として働いてくれています。
クレンジングは、
この皮脂膜と常在菌までも
根こそぎ洗い流してしまうため、
肌は“丸裸”の無防備な状態に。
乾燥・炎症を起こしやすくなり、
バリア機能が低下した肌は
紫外線や化学物質にも過敏になります。
あなたが
「クレンジング後のつっぱり」や
「肌の赤み」に悩んでいるなら、
それは肌が
「守りを失った」と叫んでいるサインかもしれません。
✔ 解決策:肌を壊さないクレンジング法とは?
「じゃあ、メイクはどう落とせばいいの?」と
思った方もいるでしょう。
私がおすすめするのは、
肌の構造に影響を与えにくいオイル、
スクワランオイル、
エキストラバージンオリーブオイル、
ホホバオイル、
太白ごま油などを使ったクレンジングです。
これらのオイルは、
合成界面活性剤を使わなくても、
メイクや皮脂と自然になじみ、
汚れをやさしく浮かせてくれます。
使い方は簡単。
オイルを手に取り、
肌をこすらずにやさしくなじませ、
ティッシュやコットンで軽く拭き取り、
そのあとお肌にやさしい無添加石鹸で洗い流すだけ。
この方法なら、
ラメラ構造や常在菌を壊さずに
メイクを落とせるため、
肌のバリア機能が保たれます。
特に敏感肌やアトピー肌の方は、
このシンプルなケアで
トラブルが驚くほど減ることもあります。
📚参考文献:
- Lambers H, et al. (2006)
Skin barrier in the physiology of the stratum corneum
International Journal of Cosmetic Science, 28(5), 359–370.
https://doi.org/10.1111/j.1468-2494.2006.00329.x - Hachem JP, et al. (2003)
Stratum corneum lipids: Structure, function, and new challenges
Experimental Dermatology, 12(s2), 5–13.
https://doi.org/10.1034/j.1600-0625.12.s2.2.x - Kubota K, et al. (2020)
The involvement of protein denaturing activity in the effect of surfactants on skin barrier function
Skin Research and Technology, 26(1), 60–66.