美肌ステップ ~第2ステップ-6~

【第2ステップ-6】
甲状腺機能低下と肌の乾燥・くすみ
〜いつもの不調は「ホルモンの司令塔」からのサイン〜
「なんとなく肌がカサつく」
「顔色が悪く、メイクが映えない」
「むくみやすく、まぶたが腫れる」
それらは、ただの乾燥肌や年齢のせいでは
ないかもしれません。
実は、甲状腺機能の低下が
肌のコンディションに大きく影響しているのです。
甲状腺ホルモンのはたらき
甲状腺は、首の前側にある小さな臓器ですが、
全身の代謝をコントロールする
“体のエンジン”のような存在です。
ここから分泌されるホルモン(T4、T3)は、
以下のような働きを担っています:
・代謝を上げ、エネルギーを作る
- ・体温・血流を調整する
- ・ターンオーバー(肌の新陳代謝)を促進する
- ・発汗や皮脂分泌をサポートする
つまり、肌の潤い、透明感、ハリ、温かさに
関係するホルモンなのです。
甲状腺機能低下が肌に与える影響
甲状腺ホルモンが不足してくると、全身の代謝が落ち、
肌のターンオーバーが停滞します。
その結果、次のような肌トラブルが起きてきます:
肌の状態 |
メカニズム |
カサつき・粉ふき |
汗や皮脂の分泌量が減少するため |
顔色のくすみ |
血流が悪くなり、酸素や栄養の供給が滞るため |
まぶたや顔のむくみ |
皮膚の水分代謝が低下し、粘液性のむくみが起こるため(粘液水腫) |
傷の治りが遅い |
ターンオーバーや再生のスピードが落ちるため |
髪のパサつきや抜け毛 |
頭皮の血流・代謝が落ちることで毛母細胞の働きが低下するため |
また、皮膚だけでなく、
まゆ毛の外側が薄くなるといった、
典型的な見た目のサインもあります。
甲状腺の不調を知らせるその他のサイン
甲状腺機能の低下は、
肌だけでなく全身にサインを送っています。
- ・体温が低く、冷えやすい
- ・疲れやすく、朝がつらい
- ・むくみやすい(特に顔や手足)
- ・便秘しやすい
- ・心が沈みがちになる(うつっぽさ)
- ・声がかすれる、ぼんやりする
これらが複数当てはまる場合、
「潜在性甲状腺機能低下症」を疑うべきかもしれません。
検査でチェックするには?
甲状腺の状態を調べるには、血液検査が基本です。
- ● TSH(甲状腺刺激ホルモン)
- ● FT4(遊離サイロキシン)
- ● FT3(遊離トリヨードサイロニン)
- ● TPO抗体・TG抗体(橋本病などの自己免疫チェック)
一見「正常値」とされても、TSHがやや高め、
FT3が低め…といった軽度の変化も、
肌の不調とつながっている場合があります。
特に、女性は30代以降から変動しやすく、
更年期前後のホルモンの波とリンクするケースも多いのです。
なぜ肌に現れるのか?〜代謝の視点〜
肌は、体の中でも最も「代謝が活発な器官」の一つ。
血流がよく、細胞分裂も盛んです。
そのため、甲状腺ホルモンの影響が
最も早く出やすい場所でもあります。
また、甲状腺ホルモンはビタミンAの活性化にも関与しており、
不足すると皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。
これは、口唇炎や鼻の中の乾燥・かさつきとして
現れることもあります。
甲状腺をサポートする生活習慣
甲状腺ホルモンのバランスを整えるには、
以下のような生活習慣が大切です。
- ● 朝日を浴びる
- (体内時計を整える→TSHの正常化)
- ● 十分な睡眠をとる(副交感神経を活性化)
- ● ヨウ素を過不足なく摂取する
- (海藻・魚介類。ただし摂りすぎはNG)
- ● セレン・亜鉛・鉄をしっかり摂る
- (ホルモンの合成に必要)
- ● グルテンや乳製品を控える
- (自己免疫性の炎症リスク軽減)
- ● ストレスを溜めすぎない
- (副腎と甲状腺は密接に連動)
特に副腎疲労(前回ステップ2-5)と
甲状腺は密接に関係しており、
副腎を整えると甲状腺機能も改善するケースがあります。
サプリメントの活用(医師と相談の上)
- ● セレン:甲状腺ホルモンの活性化を助ける
- ● 鉄:TPO酵素の働きに必要。
- 不足す るとT4→T3への変換も低下
- ● ビタミンD:自己免疫性の甲状腺炎予防に
- ● アシュワガンダ(ハーブ):TSHを安定させ、
- ストレスに強くなる
肌の不調は「代謝の低下」かもしれない
どんなにスキンケアを適切にしても、
肌が潤わない・くすむ・むくむ…。
それは、表面の問題ではなく、
ホルモンと代謝のサインかもしれません。
「冷え」「疲れ」「肌の乾燥」の3つが重なっているなら、
甲状腺機能のチェックを検討してみてください。
次回は【第2ステップ-7】
「女性ホルモンと肌の美しさ」についてお伝えします。
PMS、更年期、そして美肌の秘密が
ぎゅっと詰まったステップです。
どうぞお楽しみに。