美肌ステップ ~第2ステップ-2~

【第2ステップ-2】
ストレスが肌荒れを引き起こすメカニズム
〜見えない炎症が、肌に赤みと吹き出物を呼び寄せる〜
「ストレスを感じると、決まって肌が荒れる」
「大事な予定の前になるとニキビや赤みが出る」
こんな経験はありませんか?
それは単なる“気のせい”ではありません。
医学的にも、
ストレスは確実に肌に悪影響を与えることが
わかっています。
ストレスを感じたとき、体の中で起こること
私たちがストレスを感じると、
脳はそれに反応して
「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
これは副腎皮質から分泌される“ストレス対抗ホルモン”で、
一時的には炎症を抑えたり、血糖を上げたりして
体を守ってくれる大切な物質です。
しかし、このコルチゾールが長期間にわたって
多く分泌され続けると、
かえって体に負担をかけるようになります。
コルチゾールの「肌への影響」
以下は、慢性的なストレスでコルチゾールが
高まり続けたときに肌に起こる変化です。
- ・皮脂分泌が増える → ニキビ、毛穴の詰まり
- ・角質が厚くなる → ごわつき、くすみ
- ・バリア機能が低下 → 赤み、乾燥、かゆみ
- ・ターンオーバーが乱れる → 肌の再生力が低下し、
- 回復が遅くなる
- ・免疫が乱れる → アレルギー反応、アトピーの悪化
ヒスタミンの暴走が「赤み」「かゆみ」を生む
ストレスによって乱れるのは
コルチゾールだけではありません。
体内でアレルギー反応や炎症反応に関わる「ヒスタミン」も
過剰に放出されやすくなります。
ヒスタミンが皮膚の血管を拡張させると、
肌が赤くなったり、熱をもったり、かゆみが出たりします。
さらにストレス状態では
「ヒスタミンを分解する酵素(DAOやHMT)」の
働きも落ちるため、
ヒスタミンが体内に蓄積していく悪循環に。
睡眠とストレスの深い関係
ストレスを受けると、眠れなくなったり、
夜中に何度も目が覚めたりしませんか?
これは、交感神経が高ぶったまま
「副交感神経に切り替わらない」ためです。
十分な睡眠がとれないと、
肌は夜間に行うターンオーバーや修復作業を
できなくなります。
さらに悪化させる「血糖値の乱高下」
ストレスによってコルチゾールが分泌されると、
血糖値が上昇します。
その後インスリンが大量に分泌されて血糖が急降下すると、
今度は低血糖状態に。
このとき、身体は「危険」と判断し、
さらにアドレナリンやコルチゾールを分泌して
対処しようとします。
つまり、ストレス→血糖変動→さらにストレスという
ループが起き、肌のバリアがどんどん崩れていくのです。
慢性ストレスで起こる
「コルチゾールの枯渇」→「アドレナリン過剰」
ストレスが長期間続くと、
最初は副腎からコルチゾールが分泌されて
交感神経の興奮を抑える“鎮静役”として働きます。
しかし、慢性的にストレスがかかり続けると、
副腎からコルチゾールが出せなくなります。
このとき代償的に体内で増えるのが、
アドレナリンやノルアドレナリンなどの
カテコールアミンです。
これらは「戦うか逃げるか」の緊急対応ホルモンで、
交感神経をさらに刺激し、
体を緊張・興奮状態へと導きます。
アドレナリン過剰がもたらす
「たんぱく異化亢進」と腸上皮のダメージ
アドレナリンが持続的に分泌されると、
筋肉や皮膚、腸の粘膜を構成するたんぱく質が
分解される=たんぱく異化反応が亢進します。
このとき、体はエネルギーを確保しようと、
自らの組織を「燃料」として使い始めてしまうのです。
特に影響を受けやすいのが、腸管の上皮細胞です。
腸上皮細胞はわずか数日で入れ替わるほど新陳代謝が活発で、
栄養とたんぱく質を大量に必要とします。
しかしアドレナリンによるたんぱく質の分解が進むと、
腸の粘膜を修復・維持するための材料が不足し、
腸の粘膜が薄く・弱くなるのです。
この状態が続くとどうなるか?
- ・腸粘膜の「選択的な透過性」が崩れ、
- 未消化のタンパク質や毒素が血中に漏れ出す
- (リーキーガット症候群)
- ・免疫過剰反応が起こり、
- 食物アレルギー・肌荒れ・湿疹が
- 起こりやすくなる
- ・腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが崩れ、
- 悪玉菌優位に傾く
つまり、ストレス→コルチゾール過剰→コルチゾール枯渇
→アドレナリン過剰→腸上皮ダメージ→腸内環境悪化→肌荒れ
という流れで、
ストレスが間接的に腸と肌の両方を攻撃するのです。
肌と心を同時に守るには
あなたが美肌を目指すなら、
「自律神経をどう整えるか」を意識してみてください。
以下のような工夫で、
ストレスをコントロールして交感神経の興奮を
鎮めることができます。
- ・呼吸を意識的に深くゆっくり(5秒吸って、5秒吐く)
- ・ぬるめのお風呂にゆったりと入る
- ・朝、太陽の光を浴びて体内時計をリセット
- ・寝る前はスマホや強い光を避ける
- ・香り(ラベンダー、ベルガモット)や
- 音(自然音)で副交感神経を刺激
- ・甘い物やカフェインを控える
次のステップへ
このステップでは、
「ストレスと肌の密接な関係」、
そしてコルチゾール、アドレナリン、ヒスタミンの
影響について学びました。
次の【ステップ2-3】では、
「血糖値の乱高下が肌にどんなダメージを与えるか」
──糖化や酸化、ニキビとの関係について、
詳しく見ていきます。
肌に現れる“炎症”は、体のSOSサイン。
それに気づき、ケアしてあげることが、
美肌への第一歩です。