美肌ステップ ~第3ステップ-4~

【第3ステップ-4】
リーキーガット症候群とアトピー肌
~腸のゆるみが、肌を傷つける~
「保湿をがんばっているのにアトピーが治らない」
「除去食を頑張っているのにかゆみが続く」
「花粉の時期になると肌も悪化する」
それ、実は“腸の壁”がゆるんでいるのかもしれません。
現代の慢性炎症やアレルギー疾患の背景には、
リーキーガット(腸漏れ)症候群が隠れていることが
非常に多いのです。
リーキーガットとは?
「腸は栄養を吸収するところ」というのは
ご存じですよね。
でも実際には、“選んで吸収”し、
“それ以外はブロック”する防御壁としての役割の方が
重要かもしれません。
腸粘膜の表面には、
タイトジャンクションと呼ばれる
“すき間を閉じる構造”があります。
ここが壊れてしまうと、
未消化の食べ物・細菌・毒素などが
そのまま血液中に流れ込んでしまうのです。
この現象が「リーキーガット(leaky gut)=腸もれ」。
本来体内に入るべきでない異物に対して免疫が反応し、
炎症があらゆる場所で起こるようになります。
リーキーガットとアトピーの関連
リーキーガットにより
血中に漏れ出た未消化タンパクや毒素は、
免疫システムを誤作動させ、
皮膚で過剰反応を引き起こします。
特にアトピー性皮膚炎は、
以下のような悪循環を持ちます:
1. 腸粘膜バリアが壊れる
2. 異物が体内に流入
3. IgEやヒスタミンが過剰に分泌される
4. 肌に赤み・かゆみ・乾燥が生じる
5. 掻きむしりにより、さらに炎症が進行
6. 免疫がさらに乱れて腸の状態も悪化
皮膚だけを治療していても、
根本原因の“腸の漏れ”を塞がなければ、
いたちごっこになってしまいます。
リーキーガットが引き起こすその他の症状
- ・慢性じんましん、かゆみ、湿疹
- ・食物アレルギー(複数陽性の方は特に)
- ・頭痛、関節痛、倦怠感、PMS
- ・化学物質過敏症、アレルギー性鼻炎
- ・自己免疫疾患(リウマチ、橋本病など)
肌トラブルだけでなく、
実は体の中では深刻な問題が
進行していることもあります。
なぜリーキーガットが起きるのか?
原因として以下の要素が重なっているケースがほとんどです。
原因 |
内容 |
自律神経の乱れ |
腸の血流・消化機能が低下し、バリア構造の回復が追い付かない |
高血糖・高インスリン |
炎症物質を誘導し、タイトジャンクションが壊れやすくなる |
グルテン・カゼイン |
タイトジャンクションを緩める |
添加物・防腐剤・加工食品 |
腸内細菌バランスを乱し、腸粘膜を傷つける |
カンジダ・ピロリ菌・寄生虫 |
毒素を出して腸の構造を破壊する |
慢性ストレス |
コルチゾール枯渇により粘膜再生が追いつかない |
グルテンとカゼインが
リーキーガットを起こす理由
ここで注目したいのが、「グルテン」と「カゼイン」。
これらは、リーキーガットの原因として
最もよく知られているたんぱく質です。
■グルテンとゾヌリンの関係
グルテンは、
小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質。
これを摂取すると、
小腸で「ゾヌリン」という物質が分泌されます。
このゾヌリンは、
タイトジャンクションを“開く”作用を持っています。
一時的な開閉は生理的にも必要なのですが、
グルテンを日常的に摂取し続けると、
腸の粘膜が慢性的に開いた状態になり、
リーキーガットが起きやすくなるのです。
特に日本人は、パンやパスタ、うどん、
カレーのルー、揚げ物の衣など、
意識しないと小麦製品を毎食食べている状態です。
「私はグルテンフリーなんて無理…」と思う方ほど、
まずは意識してみることが重要です。
■カゼインの腸透過性への影響
カゼインは、
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの
乳製品に含まれるたんぱく質。
このカゼインが消化される際に生じる
「カゾモルフィン」という物質には、
腸のタイトジャンクションを緩める作用が
あることがわかっています。
また、カゼインは消化に時間がかかるため、
腸に長時間とどまって発酵・腐敗しやすく、
炎症の原因にもなりやすいとされています。
リーキーガット対策の基本は
「守って、整えて、育てる」
-
1. 守る(除去)
-
・グルテン、乳製品、砂糖、加工食品、
-
食品添加物を減らす
-
・抗生物質・NSAIDs(痛み止め)の常用を避ける
-
2.整える(修復)
- ・L-グルタミン:腸粘膜の再生を促す
-
・亜鉛、ビタミンA、マグネシウム:細胞修復を助ける
-
・良質な脂質(ココナッツオイル、MCTオイルなど)
-
3.育てる(発酵・繊維)
-
・食物繊維:腸内細菌のエサ
-
・プレバイオティクス:オリゴ糖、
-
レジスタントスターチ
-
・プロバイオティクス:乳酸菌・酪酸菌
-
(高品質サプリが有効)
検査も大切
リーキーガットは「見えない疾患」ですが、
以下のような検査で“可視化”できます:
- ・便PCR検査(GI-MAP):腸内細菌のバランス、
- 免疫指標、リーキーガットマーカー
- ・有機酸検査:腸内での発酵状態・カンジダの有無など
- ・食物アレルギーIgG検査:腸壁が壊れているサインの一つ
腸を整えると、肌は必ず変わる
アトピー肌は、
肌が「腸の不調を代弁してくれているサイン」です。
“食べる”ものだけでなく、
“吸収できているか”“排泄できているか”に
目を向けていきましょう。
腸の粘膜がよみがえれば、免疫が安定し、
肌はみるみる落ち着いていきます。