美肌ステップ ~第3ステップ-2~

【第3ステップ-2】
腸と免疫・炎症の関係
〜肌荒れの根っこにある“見えない火事”〜
肌の調子が悪いとき、
つい「保湿が足りていないのかな」
「宣伝している化粧品のほうが良いのかな」と
再度肌に負担がかかる化粧品に目が行きがちですが、
実はその肌トラブルの根っこで、
“体の内側”が静かに炎症を
起こしていることがあります。
そしてその「見えない火事」の出火元のひとつが、
腸の中なのです。
腸は最大の免疫器官
私たちの身体の免疫細胞のうち、
なんと7割以上が腸に集まっていることをご存じですか?
腸は外界とつながる「内なる外」と言われ、
病原菌やウイルス、異物などの侵入を防ぐために、
強力な免疫システムが張り巡らされています。
小腸には「パイエル板」と呼ばれる免疫センターがあり、
大腸では善玉菌が短鎖脂肪酸を産生して、
腸のバリア機能を守りつつ免疫を整える役割を
果たしています。
この腸の免疫バランスが崩れると、
体全体にさまざまな炎症が波及し、
慢性湿疹・アトピー・にきび・じんましんなどの
肌トラブルにもつながるのです。
腸内環境の乱れ=慢性炎症のはじまり
腸内環境が乱れると、
未消化物や毒素が腸粘膜を傷つけ、
リーキーガット(腸もれ)を引き起こします。
腸粘膜のバリアが壊れると、
「本来体に入ってはいけないもの
(未消化たんぱく質、細菌毒素など)」が
血流に乗って全身にまわります。
それに対して免疫が反応し、
アレルギーや自己免疫反応を引き起こします。
つまり、どうしても改善しない肌荒れは、
腸内の炎症反応が
表皮に投影されている状態かもしれないのです。
短鎖脂肪酸が鍵を握る
ここで注目したいのが、善玉菌が作り出す
「短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸など)」です。
短鎖脂肪酸は腸内の環境を整える
“調律師”のような役割を果たしています。
- ・腸内を酸性に保ち、悪玉菌の繁殖を防ぐ
- ・腸の粘膜細胞のエネルギー源となり、
- バリア機能を守る
- ・免疫を適切に調整し、
- アレルギー反応を抑える
- ・全身の炎症反応を落ち着かせる
この短鎖脂肪酸がしっかり作られていれば、
炎症にブレーキをかけてくれるのです。
逆に、食物繊維不足や抗生剤の影響で
短鎖脂肪酸が不足すると、
炎症が広がり、肌への負担も増してしまいます。
「腸内炎症=肌炎症」になるメカニズム
腸で起きている炎症は、
次のようなプロセスで肌に現れます。
1.腸の炎症によって細胞間が開き、
未消化物や毒素が漏れ出す(リーキーガット)
2.異物を異常とみなした免疫が
全身的な過剰反応を起こす
3.炎症性サイトカインが肌にも届き、
赤み・かゆみ・湿疹・にきびを引き起こす
慢性的な
「腸もれ(リーキーガット)→免疫→炎症」のループが、
肌トラブルの根源となっているのです。
腸内の炎症を見抜くには?
見た目にはわからない腸の炎症ですが、
便検査で「カンジダ菌」「有害菌」「IgA(免疫抗体)」
「短鎖脂肪酸の産生量」などを調べることで、
腸の状態と免疫バランスを
“見える化”することができます。
炎症を抑える食事とケアとは?
- ・ストレス・睡眠不足の改善
- (腸と自律神経は直結!)
- ・グルテンやカゼイン(乳製品)を避ける
- ・高繊維の野菜、オリゴ糖、発酵食品を摂る
- ・L-グルタミン・ビタミンA・亜鉛など
- 腸粘膜を補修する栄養素を取り入れる
これらの生活改善で腸の炎症を抑えられると、
肌も確実に変化していきます。
腸はあなたの内なる守護者。
そのバランスが崩れたとき、肌はそのサインを私たちに
“かゆみ”や“赤み”として伝えてきます。
腸と肌の対話に耳を澄ませること。
それが、本当の意味で肌を癒す一歩になるのです。