美肌ステップ ~第1ステップ-5~

【第1ステップ-5】
防腐剤が美肌菌を壊す
〜化粧品は何故腐らないのか?〜
水は常温に置いておくと
雑菌が繁殖し腐って飲めなくなるのに、
なぜ化粧水は腐らないのか
考えたことはありますか?
そう、化粧品には防腐剤が配合されているからです。
「防腐剤が入っている方が安心」
「菌の繁殖を防げるから安全」
──それが当然と思っているなら
少しだけ立ち止まって考えてみてください。
防腐剤は、
肌を守るはずの“善玉菌”まで殺している
かもしれないのです。
✔ 肌を守る「目に見えない味方」=常在菌
私たちの肌の表面には、
無数の皮膚常在菌が住んでいます。
代表的なのは、
表皮ブドウ球菌やアクネ菌(善玉株)、
Sホミニス(美肌菌)。
これらの菌たちは、
皮膚のpHを弱酸性に保ち、
悪玉菌の侵入を防ぎ、
免疫の調整にまで関わっていることが
近年の研究でわかっています。
つまり、
常在菌はただの「皮膚にいる菌」ではなく、
肌バリアの一部そのものなのです。
✔ 防腐剤は、善玉菌も殺してしまう
防腐剤の本来の目的は、
製品内で雑菌が繁殖しないようにすることです。
しかしその効果は、
化粧品の中だけにとどまりません。
肌に塗ったとき、
そこに残っている善玉菌
──たとえば
表皮ブドウ球菌
(Staphylococcus epidermidis)のような
肌に有益な菌までもが、
防腐剤の抗菌作用によって
抑制または死滅してしまうのです。
とくに、
フェノキシエタノールやパラベン、安息香酸などは、
化粧品に広く使われている一方で、
皮膚常在菌叢(マイクロバイオーム)の多様性を
減少させることが示唆されています。
これにより、
肌のpHが乱れたり、バリア機能が低下したりして、
乾燥・赤み・かゆみといったトラブルが慢性化
することがあります。
✔ “菌入り化粧品”の矛盾
最近は「美肌菌配合」「プロバイオティクス化粧品」
「マイクロバイオームサポート」といった製品が
注目されています。
確かに、善玉菌を補うという考え方は
非常に理にかなっています。
しかし、
その多くの製品にも、
結局は防腐剤が入っているのが現実です。
菌を配合する一方で、
それを“生きたまま守る”ことが難しいため、
保存目的でフェノキシエタノールや安息香酸などが
添加されている場合がほとんど。
つまり、
「肌に良い菌を届ける」と謳いながら、
その菌の活性や定着を防腐剤が
打ち消してしまっている可能性があるのです。
こうした製品は、
一時的な使用感はよくても、
肌の菌バランスを整えるという本来の目的は、
限定的な効果にとどまってしまうのが現状です。
✔ 防腐剤をやめると、肌の回復がはじまる
実際に私のクリニックでも、
長年肌荒れに悩んでいた患者さんが、
「防腐剤入りのスキンケアをやめた途端に
かゆみや赤みが引いた」
というケースを多く見てきました。
肌の善玉菌バランスが整ってくると、
水分保持能力が高まり、
皮脂の質も安定し、
バリア機能が回復していきます。
そして何より、
「塗るたびに肌が落ち着く」という、
スキンケア本来の心地よさを感じられるようになります。
✔ 手作りで「防腐剤無添加の化粧水」をつくる
「防腐剤を避けたいけど、
何を使ったらよいのかわからない」
そんな方におすすめなのが、自分でつくる化粧水です。
実は、
化粧水は水分+保湿成分があれば十分。
高価な成分や難しい知識がなくても、
シンプルで肌にやさしい保湿ケアが自宅で作れます。
【基本の無添加化粧水レシピ】
- ● 精製水またはミネラルウォーター:95m
- ● 植物性グリセリン:5ml
※ご自分の肌に合わせて、グリセリンを10〜20%まで増やしてもOK - ● クエン酸を耳かき一杯分入れる
- ● ヒアルロン酸ナトリウムをごく少量加える(あれば)
よく混ぜたら、アルコール消毒した遮光瓶に入れて冷蔵保存。
約1週間を目安に使い切るようにしましょう(保存料が入っていないため)。
この化粧水は
防腐剤フリーで、
肌のpHや常在菌を壊さずにうるおいを補うことができる、
理想的な“肌を育てる”スキンケアです。
植物エキスや精油は
アレルゲンになる場合もあるため、
初心者は避けた方が安心です。
肌が本来持っている常在菌バランスと
バリア機能を守りながら、
過保護ではなく“育てるケア”に、
今日から一歩踏み出してみませんか?
※手作りスキンケアが面倒な方には
ワイエスラボがおススメです。
お肌の善玉菌を育てる乳酸桿菌を高配合しています。
もちろん
防腐剤無添加なので、
大事な皮膚常在菌を抑制させることなく、
美肌菌を育て、
活性化しながら皮膚常在菌のバランスを整えます。
📚参考文献:
- Egert M, et al. (2017)
The human skin microbiome: From basic science to dermatological therapy
J Eur Acad Dermatol Venereol, 31(9), 1440–1446.
https://doi.org/10.1111/jdv.14361 - Schommer NN, Gallo RL. (2013)
Structure and function of the human skin microbiome
Trends in Microbiology, 21(12), 660–668. - Lanier B, et al. (2021)
Impact of common preservatives on skin microbiota
Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology, 14, 645–654.
https://doi.org/10.2147/CCID.S310244